みんみんのメモ帳

理系の男子大学生みんみんの日記です。日々感じたことや学んだこと、そして専門の物理学に関して書いていけたらなと思います。

阪大院試受験物語 7:院試開示を経て最近考えていたこと。

こんにちは。みんみんです。おでんが美味しい季節になりました。私は餅巾着が大好きです。

 

最近更新さぼっていました。時々見に来てくれている方々がいるみたいで・・・(照)

前回の面接編、参考になったと頂きました。ありがとうございます。

 

ryomm-physiclife.hatenablog.com

 

阪大院試受験物語の方はこの記事で最終回です。

 

7-1 院試得点開示

9月の終わりに請求した、院試の得点開示が11月6日に届きました。他の専攻では、請求後一週間経たないうちに届いたところもあるみたいです。理学研究科は受験者が多いからでしょうか、忘れたころに書留郵便で届きました。

 

結果ですが入試最高得点と25点差で第一段階合格とのことでした。ここでの段階とは、受験者の成績を上から1~5段階に分けた時に自分が属している段階を意味していますので、結果的に上位20%での合格となりました。

 

 

7-2 得点開示から見えてきたこと

正直想像よりかなりいい成績でした。筆記試験での手応えが力学6割、電磁気学7割、量子力学2割、熱統計力学7割と全体でも5割あるかないかというものでした。そのため、口頭試問を通してかなりの得点調整があったのではないかと個人的に感じています。

 

院試の難易度というものは理論・実験という括りでも大きく変わりますが、やはり志望研究室の人気具合が大きいと後に先輩方から伺いました。(理論系で人気のある素粒子理論系の競争は壮絶です。)これと同じ話は京大理学研究科の方でも伺いました。

 

そう考えるとやはり、研究室の競争率というものは外部勢にとっての研究室選択における大事な情報の一つになるでしょう。院試説明会などでラボ訪問した際に先輩方を通じて聞いておきましょう。

 

またこれは研究室の先生から伺った話と体感によるものですが、筆記試験のボーダーは見積もって5割です。絶対に死守しましょう。勿論競争率の高い研究室ではボーダーはその比ではありません。

 

7-3 その後

最近は卒業研究に明け暮れています。磁性体の相転移シミュレーションの研究をしているのですが、これがなかなかうまくいきません。毎週のように指導教官の先生に8割の叱咤と2割の激励をいただいております。

 

研究に片足突っ込んだ身として今考えているのが、院試合格即ち研究の素質があるというわけではないということです。院試なんてものは研究を始める上での基礎力確認でしかありませんでした。来春から本格的に研究活動するために必要な知識や技術は山ほどあります。決して手を緩めている時間なんてありません。(こうしてブログを書いてばかりいたらダメ。)

 

院試合格を目標としていた自分と、研究して成果を出すことを目標にしている強い方々との間には明確な実力の差があること気付いてはいたものの、すでにかなりの出遅れを感じています。ああがんばらないと。数学ツライ。

 

7-4 最後に

 

色々と院試について考えたことをTwitterのようなノリで書きましたが、今になって一番思うのは院試は所詮ハードルでしかないということです。これから院試を受ける皆様、ぜひ最小の努力で乗り越えてください。院試を目標にせず、もっと先にあるものを目標に頑張ってください。

 

質問等あればコメント欄で受け付けます。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

統計力学①:2次元イジングモデルのモンテカルロシミュレーション(理論編)

 

こんにちは、みんみんです。サンマがおいしい季節になりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 

今回は統計力学におけるイジングモデルモンテカルロシミュレーションをしてみたいと思います。私自身、学びなおしの一環で執筆しておりますので、間違い等あればコメントしていただけると助かります。

 

1.そもそもイジングモデルってなに?

結晶を構成する原子間の相互作用が強い系のふるまいを考えるとき、しばしばスピン模型という簡単なモデルを用います。イジングモデルはこのスピン模型の1つであり、下図のように結晶の格子点上に存在する原子のスピンが上または下の成分のみをとると仮定したモデルです。(簡単のために下図は2次元のモデルにしています。)f:id:ryomin_20ku18:20181013131238p:plain

この系のハミルトニアンはスピンを\displaystyle\ S_i として

\displaystyle\ H=-J\sum_{〈ij〉}S_i S_j-h\sum_{i=1}S_i

と表されます。ここでの \ -J\sum_{〈ij〉}S_i S_j の項は相互作用項といい、あるスピン \displaystyle\ S_i と隣接するスピン \displaystyle\ S_j 間に生じる相互作用を表しています。具体的に1次元のモデルで考えると、下図のようにあるスピン \displaystyle\ S_i に隣接しているスピンは \displaystyle\ S_{i+1}   \displaystyle\ S_{i-1} となりますので、注目しているスピン \displaystyle\ S_i には \displaystyle\ -J(S_i S_{i+1}+S_i S_{i-1}) という相互作用が働くことがわかります。ここでの\displaystyle\ J はスピン間相互作用と呼ばれる値ですが、今回は簡単のため定数とします。

f:id:ryomin_20ku18:20181013133225p:plain

また、第2項の\ h\sum_{i=1}S_i は外部磁場 \displaystyle\ h に伴うゼーマンエネルギーを表しています。

 

2. モンテカルロ法

2-1 モンテカルロ法ってなんだ?

平衡統計力学において系の物理量、例えばエネルギー \displaystyle\ E や比熱  \displaystyle\ C_V を計算するときカノニカルアンサンブルという方法を用います。(カノニカルアンサンブルの基本については最後に載せてあります、参考文献を参照してください。)数値計算の世界でこのカノニカルアンサンブルに置き換わるのがモンテカルロ法という計算法です。

まず、カノニカルアンサンブルにおいて系の物理量Aの熱平均は以下のように与えられます。

\displaystyle\ 〈A〉=\rm{Tr}\  \frac{Ae^{-\beta\ H}}{Z} = \frac{\rm{Tr}\ Ae^{-\beta\ H}}{\rm{Tr}\ e^{-\beta\ H}} = \frac{\displaystyle\ \sum_{i}Ae^{-\beta E_i}}{\displaystyle\ \sum_{i}e^{-\beta E_i}}

この計算には一つ難しいところがあります。系がとりうるすべての状態の和を求める必要があるという点です。そこで、すべての和の計算を実行する代わりに、乱数を用いて適当な状態をサンプリング(ランダムサンプリング)し、それらの平均値として \displaystyle\ 〈A〉 を近似的に求めるのです。では、次に具体的な話をしていきましょう。

2-2 モンテカルロ法の2つの条件

モンテカルロ法により求められた平均値\displaystyle\ 〈A〉 を本当にカノニカルアンサンブルから導出される熱平均の値と認めてしまってもいいのでしょうか?実は2つの条件があります。

条件① エルゴード性の保証

モンテカルロ法においてもし試行回数(ランダムサンプリングを行った回数)が少なかった場合、いくつかの状態がサンプルの中に含まれない可能性があり、もしそうなった場合、熱平均を正しく計算することができなくなります。エルゴード性の保証とは、系のなかで起こりうるすべての状態の実現を保証するということです。これは前述の通り、試行回数を増やせば解決できます。

条件② 詳細釣り合いの条件

ある状態\displaystyle\ i の実現確立を\displaystyle\ P(i) 、状態\displaystyle\ i にある系が別の状態\displaystyle\ j に遷移する確率を\omega_{i→j} としたときに、

\displaystyle\omega_{i→j}\ P(i)\ =\ \omega_{j→i}\ P(j)

を満たすことを詳細釣り合いの条件といいます。つまり状態\displaystyle\ i\displaystyle\ j の遷移確立の比を、それぞれの状態の実現確立の比に取ればいいということです。これは熱平衡条件を実現させるための十分条件であるといわれています。しかし、この詳細釣り合いの条件は上述の通り十分条件であり、実はもう少し緩い条件があります。その紹介も踏まえつつ、実際のモデルへの適用を考えていきましょう。

 

2-3 メトロポリスアルゴリズム

上に書いた詳細釣り合いの条件を踏まえつつ、多くの一般的な系に適用できるアルゴリズムとして「メトロポリスアルゴリズム」というものがあります。メトロポリスアルゴリズムとは、ある系\displaystyle\ i から新たな状態\displaystyle\ j を先に生成し、その状態\displaystyle\ i→j の遷移を認めるか否かを以下の遷移確立に従って決めるというものです。

\omega_{i→j}=1~~~~~~~~~~ (E_i\ <\ E_j)

\omega_{i→j}=e^{-\beta\ \Delta E}~~~~~~ (E_i\ >\  E_j)

ここで \Delta E = E_i\ -\ E_j であり、古い状態 \ i 新しい状態 \ j のエネルギーの差を表します。実際のシミュレーションでは乱数を用いて新しい状態を受け入れるかどうかを決めます。

 

次回は(実践編)ということで実際に2次元イジングモデルをこのメトロポリスアルゴリズムを用いて数値計算していきたいと思います。では、今回はこのあたりで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 参考文献

川村 光 , 「統計物理」,丸善出版 ,(1997)

ハーベイゴールド他 , 「計算物理学入門」 ,ピアソンエデュケーション ,(2000)

 

 

 

 

 

 

 

 

阪大院試受験物語 6:面接編とその後。

こんばんは、みんみんです。

気づけば朝晩が冷え込む季節となりました。しばらく更新してなかったのですが、表題にありますように、面接試験について書きたいと思います。ここでは、入試要綱に書いてないような面接試験のあれこれに限定して書いていきたいと思います。

 

6-1 試験までの流れ。

朝の9時に前日に受けた一次試験(筆記試験)の結果が発表され、1時間後の午前10時から面接試験が始まります。

10時までに面接の控え室に入ればいいので、それまでの時間は学内のコンビニ等で飲み物を購入したり、トイレを済ませておいたりしたらいいと思います。しかし、控え室に入ってからは電子機器の使用はできませんので、面接前に気になることがあれば事前にコピーを取る等しておくといいかと思います。私は志望研究室の先生が書かれたレビュー記事や自身の卒研の進捗をまとめた資料等を持ち込みました。また、この時点で前日の筆記試験の見直しができていなければ、早急に済ませましょう。面接で質問されるかもしれません。

 

6-2 試験部屋に入ってからの流れ。

部屋に入ると「コ」の字型に10人ほどの先生が並んでいらっしゃいます。ここで度肝を抜かれて私みたいに自分の受験番号をド忘れすることのないよう、覚悟して入室しましょう。受験者の名前と志望研究室の確認などといった簡単な質問の後、口頭試問が始まります。私が実際に聞かれた質問は以下の通りです。 

 

・どうしてその研究室を志望するのか。 

・具体的にやりたいことは何か?

・現在行っている卒業研究について。

→現在までの進捗と卒業までの見通しは?

・昨日の試験の出来は?(大問ごとに)

→見直ししてみて何かわかったことは?

・D進の意思は?

・もしも第一志望研究室が定員いっぱいならどうするか。

→第2志望以下の研究室を希望するか、他大学への進学を検討するか?

・他大学の併願状況

 

下2つはいわゆる「不合格フラグ」として有名な質問ですが、結果的に第1志望研究室に合格できているので、そこまで気にしなくていいと個人的には思います。ウソをつくくらいなら、正々堂々と答える方が印象としてはベターでしょう。

 

面接時間は1人およそ15分ほどで、先生方が重要視されてるように感じたのはやはり「志望動機」であるように感じました。ここで、先生方の納得を得られたのは大きかったと思います。

 

また私が書くまでもないことですが、出願時に提出する願書はしっかり考えて書いておくことをお勧めします。卒業研究の内容が先生方の専門にピッタリ当てはまってるタイプだとかなり突っ込んだ説明を求められることもありえます。例えば私の場合、試験監督の先生の1人が自分の卒論と似た方向性の研究を過去にされていたようで、研究の手法と見通しについて突っ込んだ質問をされました。願書を書く段階で、自分の卒研の本質が何なのか、しっかり理解できていれば柔軟に対応できるでしょう。

 

面接が終了すればそのまま解散となります。入試要綱には口頭試問の試験時間が夕方ごろまでと書かれていましたが、昼前には大阪大学の門を抜けていた記憶です。

 

2日目は第2志望グループの面接試験でしたが、思ったより1日目の手応えが良かったことと、前日までの詰め込みで喘息が悪化したため、棄権しました。

 

6-3 合格発表とその後について。

1週間後に理学研究科棟にて合格発表がありました。ホームページでの開示がないのは辛かったですが、当日自分の番号がそこにあるのを見て安堵しました。

 

2日後に阪大から合格証明書などの入った封筒が届きました。受験番号の数から逆算して、倍率は1.5倍行かないくらいかなと考えています。何はともあれよかった。めでたしめでたし。

 

 

と、落ち着いたのもつかの間、大学院での奨学金の予約採用が9月28日締め切りだということに1週間前に気付き、慌ててバイト先に給与所得証明を取りに行きました。奨学金云々の資料が合格証明書とともに入ってないのは本当にダメだと思います。名古屋大学に合格したTwitterのフォロワーが「スカラネットめんどくせぇwww」ってツイートをしてくれてなかったら、予約採用を見逃してしまっていたと思います。奨学金を借りる予定の方は、入学後でも手続きはできますが、4月初めは入学準備に忙しいかかるので、この機会を見逃さないようにしましょう。

 

6-4 今後のブログ運営について。

思ったよりたくさんの人が見てくれてて少し驚いています。院試の得点開示申請もしたので、わかり次第更新したいと思います。またこのブログは今後、自分がしている卒研のこととか、お勉強のこととかを暇な時にまとめる場にしたいと思います。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも外部から阪大理学研究科物理学・宇宙地球科学専攻を受験する方の参考になればいいなと思います。

 

では、今回はこの辺りで。

 

 

 

 

 

阪大院試受験物語 5:英語対策

こんにちは。みんみんです。

前回までの記事では物理学の対策についてまとめました。

今回は受験生、特に外部勢にとっては対策のしにくい英語対策について書きたいと思います。

 

5-1:英語試験

英語試験対策の難しいところは何といっても問題が”非公開”にされている場合がほとんどであるということです。TOEIC等ならいくらでも対策できますが、独自問題は著作権の都合上、なかなか手に入れることができません。過去問ないのにどうやって対策すればいいんだって思う人、めちゃめちゃ多いと思います。私自身、当日まで過去問を手に入れることができなかったので多々苦労しました。外部勢の方々のために、今だから言える「ああすればよかった・・・」をいくつか書いていきたいと思います。

 

その1:当然、過去問はないよりあった方がいい。

内部勢は研究室の先輩方から英語試験の過去問を譲り受けています。外部に対しては非公開でも、内部では当然出回っているのです。院試当日の試験会場で過去問を囲んで談笑する内部勢を見て戦慄したのは言うまでもありません。私は研究室訪問の際に、先生方から英語問題の雰囲気だけは聞けたのですが、問題をいただくことはどうしても気が引けてできませんでした。外部から院試を受ける方はできるだけ過去問を手に入れる方策を考えましょう。内部の知り合いにお願いする、志望研究室の院生にお願いする…etcなんでもいいと思います。大学によっては生協や教務で過去問の貸し出しやコピーサービスを行っている場合もあるので、早めに確認しておきましょう。

 

その2:日頃から英語に触れる機会を設けよう。

多くの大学生にとって、大学に入ってからの英語の授業は高校時代のものに比べたらかなり緩いモノだと思います。専門の勉強に精一杯で英語は・・・となっている方、要注意です。院試当日に長文と向き合って「なんも読めねぇ・・・」となりかねません。(もちろん英語試験の出来を無視できるぐらいに専門試験が強ければ話は別です。)ゼミ等で英語の教科書の輪講等があれば積極的に参加するようにしましょう。これだけで志望分野の専門用語や英語特有の言い回しに慣れることができます。私は併願先でTOEICのスコア提出が求められていたこともあり、その対策が阪大院試でも少し役立ちました。TOEICの問題集は以下のものを何周もしました。これだけです。 

公式 TOEIC Listening & Reading 問題集 1

公式 TOEIC Listening & Reading 問題集 1

 

 また、大学の行きかえりの電車で以下の本を時々読んでいました。非常に読みやすく、科学の読み物として面白いので興味があれば読んでみるといいです。

日経サイエンスで鍛える科学英語

日経サイエンスで鍛える科学英語

 

 その3:阪大院試の傾向

これを聞きたい人が一番多いと思います。ズバリ、下線部訳と英訳問題です。時間は60分なのでそんなに問題量は多くありません。大学入試等で英作文に慣れていれば英訳問題も苦労することはないでしょう。専門用語も適宜補われますので、高校時代に習った基本文法や言い回しだけしっかり確認しておいてください。

 

実際、英語試験よりも専門試験の方にウェイトはあるので、英語対策に必死になる必要はありません。私自身、試験1週間前から1日に1時間程度、上にまとめたことをやった程度です。しかし、大学院によっては英語試験を足切りの判断に用いるところもあるみたいなので、注意しましょう。他の受験者と比較して、遜色ない点数が取れれば十分です。

 

以上、英語試験対策でした。次回は面接対策についてまとめます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

阪大院試受験物語 4:物理学の対策(量子力学編)

みなさんこんにちは。みんみんです。

昨日、結果発表があり無事合格することができました。理論の研究室を第一志望で合格することができたので少し自信がつきました。点数開示は後ほどブログでまとめますね。

 

さて、先日の記事では熱・統計力学について書きました。

ryomm-physiclife.hatenablog.com

 

今回は「量子力学」の対策について書きます。僕自身、一番対策に時間をかけたのがこの量子力学です。(本番では見事なまでに自爆しましたが。)

今回も書ける範囲で私のしてきた対策を書きたいと思います。

4-1 量子力学の対策

 量子力学は多くの物理学科では2~3年生にかけて幾つか講義があると思います。私の大学での量子力学の講義は1コマ(2単位分)しかありませんでした。授業自体も井戸型ポテンシャルや中心力ポテンシャルの範囲に留まり、角運動量や摂動論などといったいわゆる量子力学の難所は独学ですることになりました。はじめに読んだのは講談社基礎物理学シリーズです。

 

量子力学1 (講談社基礎物理学シリーズ)

量子力学1 (講談社基礎物理学シリーズ)

 
量子力学2 (講談社基礎物理学シリーズ)

量子力学2 (講談社基礎物理学シリーズ)

 

 相変わらずこのシリーズは物理独学者の味方です。大学初年度レベルの微積と線形さえ理解していれば容易に読み進めることができるでしょう。特殊関数やフーリエ変換等が出てきてもその都度解説があるので、この本だけで量子力学の基本は固まります。1巻はシュレディンガー方程式の導出、井戸型ポテンシャル、調和振動子、中心力ポテンシャルを、2巻では量子力学の山場である、角運動量・摂動論・近似法・経路積分の導入等が書かれています。2巻の後半はあまり院試では問われませんが、後学のために読んでおいて損はありません。これらの本に加えて、

基礎量子力学 (KS物理専門書)

基礎量子力学 (KS物理専門書)

 

 猪木川合基礎量子力学を読み込みました。この本は物理強者御用達、猪木川合量子力学Ⅰ・Ⅱの中からエッセンシャルな部分をまとめた教科書です。演習問題も豊富で、この本一冊やりこむことができれば院試のオーソドックスな問題はそこそこ取れるようになると思います。その上でよりいろんなパターンの問題に触れたいと感じた時は、最近サイエンス社数理工学社)から出版された黄色本をやればいいと思います。

 ところどころ誤植は目立ちますが、周回できればかなり自信がつくと思います。

これらに加えて、過去問15年分と阪大以外の大学院の入試問題を手当たり次第に解きました。量子力学統計力学と同じく、定番問題が多いので過去問や問題集でとにかく演習を積むことをお勧めします。パッと見できそうな問題でも、自分の手で解答を書いてみると案外ペンが止まりがちなのが量子力学の怖いところです。私は本番で証明問題に手が止まり、見渡す限りの白紙で提出するハメになりました。

 

さて、今回で物理4科目の対策についてまとめ終わりました。

次の記事では外部勢には対策しにくい、英語と面接について書きたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

阪大院試受験物語 3:物理学の対策 (熱・統計力学編)

みなさんこんにちは。みんみんです。いつも拙いブログを読んでいただきありがとうございます。

 

さて、前回の記事では電磁気学の対策を書きました。

ryomm-physiclife.hatenablog.com

 

今回は最も得点源にしやすい(と私が考えている)「熱・統計力学」に関して書きたいと思います。先に教訓を1つ、”熱力学をナメると痛い目に遭うゾ。”

 

3ー1 熱・統計力学の対策

 

多くの物理学科では1年時に熱力学を、2〜3年次に統計力学を学ぶと思います。私の大学では2年時に熱力学1コマ(2単位)、3年時に集中講義で統計力学1コマ(2単位)を履修しました。力学・電磁気学の例に漏れず、圧倒的演習不足でした。私は熱力学を2年になってから授業と並行して勉強を始めました。初めに読んだのはフェルミ熱力学です。

 

フェルミ熱力学

フェルミ熱力学

 

 昔から定番と言われている本の一つです。この本が授業の参考文献になっていたこともあり、かなり読み込みました。大学の熱力学で新たに出てくる熱力学ポテンシャルという概念もこの本で一通り学びました。後に挙げる田崎先生の「熱力学」や清水先生の「熱力学の基礎」(数学的に厳密でやや高度な印象です)等で学ぶのもいいでしょう。本屋で自分に合うものを選べばいいと思います。私が選んだフェルミは演習が心許ないので困った時のマセマで補いました。 

スバラシク実力がつくと評判の演習熱力学キャンパス・ゼミ

スバラシク実力がつくと評判の演習熱力学キャンパス・ゼミ

 

マセマ熱力学演習を一通りやれば偏微分の扱いやルジャンドル変換には慣れると思います。統計力学でも熱力学は度々登場しますし、その時に復習すればいいと考えたのでここではあまり力を入れませんでした。(これが後にに自分の首を絞めることになるとは。。。)

 

3年になり、統計力学を本格的に学ぶにあたってまずこの本を読みました。

 

統計力学 (講談社基礎物理学シリーズ)

統計力学 (講談社基礎物理学シリーズ)

 講談社基礎物理学シリーズの統計力学です。電磁気学でも同じシリーズを紹介したのですが、統計力学も非常に良い本です。古典統計に加えて量子統計、更にはイジングモデルや平均場近似といった少し高度な内容も取り扱っており、1冊で平衡系統計力学の土台を作ることができます。私は熱力学をおろそかにしていたので式変形に躓いたところも多かったのです が、普通に熱力学をやっていればスムーズに読めます(笑)。この本の章末問題に加えて、

サイエンス社(数理工学社)演習本をすれば基礎は完璧になると思います。しかし、この演習書は(個人的な体感的に)ややレベルが低いので後に紹介する「久保熱」で適宜補いました。

 

さて、院試ブログ等でしばしば「熱・統計力学」といえば....というノリで取り上げられる定番本があります。

 

まずは学習院大学の田崎先生が書かれている熱力学、統計力学Ⅰ・Ⅱ(培風館)です。

 

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

 
統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)

 
統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)

 

初学者が一人でこれを読み進めるのは少ししんどいのではないかと個人的には思います。私自身独学であったこともあり、時間が足らずこれらの本はあまり読めていませんが、ミクロカノニカル、カノニカル、グランドカノニカルの等価性に関する議論には眼を見張るものがありました。教科書を読んでいて気になったところをチェックしてみると良いと思います。更に、演習本として

大学演習 熱学・統計力学

大学演習 熱学・統計力学

 

通称「久保熱」こと「大学演習 熱学・統計力学」も院試勢には馴染み深いのではないでしょうか。この本を一人で最初から最後までやり切るのは院試のレベルから考えても明らかにオーバーワークです。しかし、院試でこの本から出題されるようなテーマも多く、網羅性は既存の演習書の中でトップクラスです。院試問題を数年分解いていくうちに問題の傾向が見えてくると思います。その上でこの「久保熱」から院試出でそうな問題や重要な考え方をピックアップしてみると良いでしょう。手元に一冊あると心強い味方となること間違いありません。熱力学も収録されているので、気になるところはやっておきましょう。もし勉強仲間がいるのであればゼミ形式で演習するのもいいかもしれません。

これらの本に加えて、過去問を15年分ほど周回すれば大コケしない限り熱・統計力学は安定した得点を望めると思います。阪大院試ではこの分野は統計力学が出題されるのですが、数年に一度の周期で熱力学が出題されます。私自身、本年度の入試で問題を開いた時にカルノーサイクルが目に飛び込んできて度肝を抜かれました。 加えて言いますが、熱力学もほどほどに復習しておくことをお勧めします。

 

さて、次回は院試受験生の宿敵「量子力学」について書こうと思います。ではまた。

阪大院試受験物語 2:物理学の対策(電磁気学編)

 

こんばんは、みんみんです。

前回は力学と解析力学について対策をまとめました。

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今回はみんな大好き(?)電磁気学についてまとめていきたいと思います。私は本当に最後の最後まで電磁気学に苦しめられました。

 

2-1 電磁気学の対策

おそらく物理学科では電磁気学は1回生〜2回生でマクスウェル方程式等を学習し、3回生では特殊相対性理論等にも手を伸ばしているのではないかと思います。一方、私の大学では電磁気学は1コマ(2単位)だけ、かつ高校レベルだったのです。私より一つ前の学年までは4単位分授業が開講されており、どこかの名誉教授による授業が開講されていたようですが...。つまり電磁気学に関しては完全に独学です。

大学での電磁気学といえばずばりマクスウェル方程式の理解が大切であり、それらはベクトル解析という数学の言葉で表現されます。1冊目はこの本です。

 

数学に苦手意識のあった私はやはりマセマから始めました。ベクトル解析に関しても詳しい解説があります。演習編もやるとガウスの法則やビオ・サバールの法則、アンペールの法則といった電磁気学に山ほど登場する公式の意味と使い方が理解できるはずです。しかしマセマだけでは院試には太刀打ちできないので、以下の本を読みました。

電磁気学 (講談社基礎物理学シリーズ)

電磁気学 (講談社基礎物理学シリーズ)

 

講談社基礎物理学シリーズは高校物理を前提に書かれており初学者でも読み進めやすい内容となっています。この本で物質中の電場・磁場の振る舞い、電磁波やローレンツゲージetc...を勉強できました。院試直前期には以下の本で演習しました。

最近、サイエンス社(数理工学社)から出版された演習書なのですが、これをやり込めば死角はほぼなくなると思います。1-2ヶ月ほどで1周できると思うので、ガリガリやりましょう。ただし、ところどころ誤植が目立つので気をつけてください。あとは過去問を15年分解きました。阪大の電磁気学は電磁波が頻出なので、重点的に対策しました。以下のサイトの電磁気学のページもかなり参考になった記憶があります。

物理とか-電磁気学

 

最後に。多くの受験体験記等で砂川「理論電磁気学」が推されていますが、初学者・独学者には幾分重たいように思います。私自身ほとんど読んでいません。その分カバーしている領域はとても広い(特殊相対論も載ってる)ので、わからなくなった時の辞書程度で活用すると良いかもしれません。

 

以上が私の電磁気学対策です。次回は1番点数が取りやすいと思われる「熱・統計力学編」です。